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ひとりの群衆

ひとりの群衆

 

 

動作の前に思考がある

気がつかないのは本人だけだ

 

ひとりが死んでふたりになることはない

ひとりを完了するだけだ

 

生きてさえいれば天は見ていてくれる

 

ひとりが叫べば十人集まるかもしれない

十人が叫べば百人が集まるかもしれない

 

百人が叫べば千人

千人が叫べば万人

万人が叫べば群衆となる

 

やがて群衆は国を動かし

自由を勝ち取る

 

部屋に椅子があった

座る人はいない

 

机に本が並んでいた

読む人はいない

 

すべてのことには理由がある

疑いにも疑いは生まれる

 

あっちにもこっちにも左がある

どっちにもこっちにも前がある

 

誰の顔にも顔がある

それを認めて話をすると

それとこれとは別だと言われる

まったくやりづらい

 

当てもない旅に出て得るものは

経験という代物だけだ

だから靴紐がだらりと緩んでしまうのだ

 

僕はいま僕自身と戦っている

ここに居るということがすでに罪なのだ

僕は僕自身の人生の邪魔をしたくない

 

僕は今しわくちゃの下書きでしかない

群衆の先頭に立つのは無理だ

ひとりの強さを持ち合わせていない

 

この世の目を奪う真実は

ありふれた日常のなかにある

 

他人の人生を生きることはできない

生きるように生きることが大切なことなのだ

 

ふと昔の恋人の夢を見た

仕打ちのような別れだったのに

なぜにあんなに優しい目をしていたのだろう

 

目の前の水を一口飲んだ

お茶ではないというそれだけで満足は半分だった

身体が欲してない時にそれを飲んだからだ

 

物事には熟成というものがある

時期待たずして動いてはいけない

 

十年経って届く言葉がある

百年経って認められることがある

 

孤独は受動だが孤立は能動だ

僕はどこをくぐり抜けてそうなった

 

この地上で大切なのは生きる理由だ

もう一度人生を考え直す

ひとりの群衆として