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閉店。

高校3年生のときだったな。

 

親戚に、同じ歳で、もう仕事をしていた奴がいましてね。

そいつに連れられて、行ったもんです。

 

パチンコ、競艇、スナック。

 

パチンコは、当時も今も、18歳以下は来店禁止なのですが、そこはまだ、昔。

ぜんぜん、厳しくなかったですね。

学生服で行ってましたから。

 

パチンコと言えば、あの日のことを思い出します。

あれは、間違いなく、僕対策でした。

 

当時、お金もないですし、300円負けたら、すごすごと家に帰って行きました。

 

12月24日でした。クリスマスだったので、良く覚えています。

その日も、そいつと、パチンコ屋に寄ったんです。

夜、8時半頃に入店しました。

 

僕は、どうせ負けるんだと思い、台を選ばなかったわけです。

そいつは入念に台を選びましたので、僕は、その隣に座ったのです。

 

玉は、どんどん減り、最後の1個になりました。

その1個が、チューリップに飛び込んだわけです。

 

バラバラと落ちてくるパチンコ玉。1個入ったところで、心細い量しか出て来ませんのでね。不確かなことは言えませんが、1個入ると、15個流れてくるんじゃなかったかな。

 

もう、ダメだと思うと、1個入るんです。

それを繰り返していた時に、連続で入り、上の皿がいっぱいになりました。

 

そこからでしたね。

どんどん入るわけです。チューリップは開きっぱなし。

この台は壊れてるんじゃないかと思ってしまうくらいなのです。内心、怖くなりましたね。

 

店員さんが、長方形のブルーの空箱を持って来てくれて、その箱が、3つ、4つと増えて行きました。

 

僕の街では、あまり入らないパチンコ店で有名でした。

お客さんも少なかった。なので、高校生でも、目を瞑っていたのでしょう。

 

その店は、打ち止め終了がなかったのです。

箱はどんどん増え、何度も店員が覗きに来ます。

他のお客さんも、僕の後ろに並んで、僕のフィバーぶりを観ています。

 

足下に置いた箱は、いつの間にか、10箱近くになりました。

交換時は、1箱が約2500円でしたから、すでに25000円です。高校生に25000円は、大金の域を超えています。親戚の奴は、僕の箱から玉をくすねていましたが、そんなことは、気にならないのです。

 

箱が5つくらいになったとき、父に電話をしたのを覚えています。

父は、電話口で笑ってましたね。

 

その店の、閉店は10時でしたから、後、30分はやれるのです。

 

 

ところがです。

ところがでした。

 

店内にアナウンスが流れたのです。

 

「本日のご来店、誠にありがとうございます。本日は9時半で、営業を終了させて頂きます。また、明日のご来場を、お待ちしています。本日は、誠にありがとうございました。」

 

そのアナウンスを聞きながら、思いましたね。

 

「オレだ・・・。出しすぎたからだ。」

 

と。

 

終了時には、3万円近くになっていました。

今では、僕はパチンコはやりませんが、僕のハイスコアは、あの日でした。

 

高校生です。3万円も入ったんです。少々、減っても構わないという思いから、

翌日も、その店に行ったのです。同じ台を目指しました。

 

良く出る台は、数日間、そのままだということを知っていましたので。

少々、釘をいじっても、出るものなのです。

 

その台に、向かいました。人は、座っていません。

 

「ラッキー!!!」

 

ところがです。

ところがです。

 

台には、張り紙がしてありました。

 

「故障中」

 

やっぱり、そういう台だったのですね。

昨日の閉店が早まったのは、僕対策で間違いないでしょう。

 

パチンコ屋を、早めに閉店させた男。

今、歌を歌っています。

 

ASKA