防音工事。

30年前だったかな。

 

僕は、自宅に何ちゃってスタジオを造ることを決心しました。

当時、アーティストで、そんなことをやった人は誰もいなかったので、

防音施工会社も初めての試みでした。

 

普通のマンションなので、

真夜中に大音響で鳴らしても近隣に迷惑をかけないようにするためでした。

 

部屋の中に部屋を作るのです。

 

色々調べると「ラスクボード」と、いうのに出会いました。

振動も音も吸収してしまう、鉄のパネルです。

 

賭けでしたが、見事に成功しましたね。

 

今では、たくさんのアーティストが、自宅に防音部屋を作っています。

 

当時、6畳の部屋で800万円強かかったかな。

それでも、元を取ってみせるという覚悟を持ちました。

 

楽曲は量産されました。時間帯に左右されることなく音を出せるわけですから。

 

今回、この部屋を作るのに1000万円ほどを想定したのです。

 

その時、思いついたのです。

 

そもそも、

防音パネルというという当たり前の概念を受け入れてしまっているのではないか?

 

遮蔽板で部屋を囲えば、ある程度の防音はまずできる。

そこに空気層の幅を持たせ、さらなる本格的な遮音板で、部屋を作る。

この本格的な遮音板が、高額なのです。

 

音の吸収、遮音になるものが、他にあるのではないか・・・。

 

ふと、思いついたのが、ふわふわの分厚い絨毯(じゅうたん)でした。

この絨毯で、部屋を囲んでしまえば、意外な効果が現れるのでないかと。

 

施工屋さんは「やったことがない」とのことでしたが、絨毯です。

1枚3万円程度です。失敗すれば、通常の工事にすればいい。

とにかくやってみよう。

 

大成功でした。

 

絨毯が音を見事に吸収してくれましたので、

今、この部屋では、大音響のエレキギターも、ボーカルも録音できます。

 

工事屋さんは、僕にこう言いました。

 

「驚きました・・・。これ、他で紹介していいですか?」

「どうぞどうぞ、やってください。」

 

音楽環境を整えることのできない若いアーティストよ。

防音工事の常識額の前で、最初から諦めて、辛い環境で音作りをしなくていいよ。

 

ここ、40万円で、できたのだよ。

トライしてみな。

頑張れよ。

 

ASKA