シンガポールの子

あの頃、僕たちCHAGE&ASKAが、アジアツアーをやっていた時、

シンガポールの通訳は女子高生でした。

 

アイドルさんのような顔をしていましてね。

チャイニーズネームが難しかったので、僕らは、

 

「かっちゃん」

 

と、呼んだのです。

 

なぜ、そうなったのかは、あまり覚えていませんが、

確か、名前に「勝」と、いう字が入ってたんじゃないかなぁ・・・。

 

いや、確かではありません。

 

「かっちゃん」が、日本に来た時には、女子大生になっていました。

 

確か、連絡をもらって食事に行ったんだよな。

 

前回、シンフォニックコンサートで、シンガポールに行った時に、

会えるのを楽しみにしていたのですが、彼女は現れず、

少し、寂しい気持ちになったのでした。

 

去年だったかな。

 

シンガポールから「ロックダム」に、一本の電話が入ったのです。

 

CHAGE&ASKAさんから、日本ネームをつけられた子が亡くなった」

 

と・・・。

 

「かっちゃん・・・」

 

シンフォニック、シンガポール公演は2008年ですので、

もしかしたら、あの時には、すでに亡くなっていたのかもしれません。

 

シンガポール=かっちゃん

 

と、いうくらい仲良くなりましたからね。

 

その間、ちょくちょく元気かな?と、思い出していた頃には、

もうこの世にはいなかったのかと思うと、切なくなりました。

 

海外の友人というのは、また、特別です。

 

その地がテレビに映ると、必ず思い出しますからね。

 

よく言います。

 

「政治家、財界人の子息を海外生活させるのは、

 いつか、本国の重要なポストについた時に、

 その海外生活をしていた国との間で生じた摩擦を軽減させるため。」

 

何か、大きな出来事があった場合、まず、その国よりも、

その時に知り合った友人、知人を心配します。

 

もっと言えば「あの国と戦争をしてはならい」と、いう気持ちになります。

 

僕たちには、そんな人が、

「中国」「台湾」「香港」「シンガポール」そして「韓国」。

もちろん「イギリス」にも「アメリカ」にも。

 

海外に友人がいるということは素敵なことだと思います。

 

昨日、ロンドンから打ち合わせのために来日した人物がいます。

 

ワクワクする打ち合わせだったなぁ。

 

そうなんだよな。

そういうことなんだよ。

 

心の中では、何度もそのフレーズが顔を出しました。

 

今日は、会社に顔を出してくれましたので、

僕も会社に行ったのです。

 

彼とは、もう古い付き合いです。

アジアツアーなど、一緒に回りましたからね。

会話がシンガポールのことになり、

 

「ね?そう言えば、かっちゃん覚えてる?」

「もちろん」

「かっちゃん、亡くなったんだよ。」

「えっ!?何言ってるんですか。かっちゃん、元気ですよ。」

「なんで!?なんで知ってるの?」

「かっちゃん、もう10年以上前に、イギリス人と結婚して、

 イギリスに住んでますよ。」

「去年だよ。死んだって連絡があったのは」

「ほら、これ」

 

Facebookを見せられました。

 

動画を観せられたのです。

 

お家の裏庭・・・バックヤードでしょうか?

そこで、画面いっぱいに笑顔でシャボン玉を飛ばしている「かっちゃん」がいました。

 

ぜんぜん変わってない。

 

高校生の時の顔、そのままでした。

 

一気に、心の中が温かくなりましたね。

 

と、同時に、

 

「日本ネーム」「オレたちがつけた?」

「女の子」「死んだ・・・」

 

だ、誰?

「かっちゃん」ではなかった・・・。

 

「ね?かっちゃん以外、思い当たらないんだけど・・・」

「何言ってるんですか。CHAGEさんもASKAさんも、

 そこいら中で、日本名をつけて楽しんでたじゃないですか」

 

そうでした・・・。

 

そう言われたら、そんなことばっかりやってました。

 

また、日本名をつけられた子たちも、

喜んで振り向いてくれるようになっていましたので、

調子に乗ってやってました・・・。

 

で、誰?

 

亡くなったシンガポールの子?

 

「まみちゃん?」「けいこちゃん?」「カツオ?」

みかちゃん?」「ゴン?」

 

確かに、そんな感じでつけてました・・・。

ふぃーりんぐってやつでしょうか・・。

 

で、

誰よ・・・?

 

えみ?

じゅん?

 

誰?

どの子だ?

 

 

ASKA