「戦術」と「戦略」【追記】
「戦術」と「戦略」
この二つには、言葉の意味の違いがあります。
この二つを兼ね備えてこそ「勝利」があります。
「戦術」とは、その戦いにおける采配や、機動力を最大限に引き出すことです。
「戦略」とは、長期の展望を持ち、「勝利」や「成功」に事を運ぶ事です。
先日のワールドカップの日本の試合が、世界各国から酷評を受けています。
優勝トーナメントに出場できるのは、4チーム(4カ国)が1ブロック分けされた中で、2チームだけです。
これを決勝トーナメントに上がるためのリーグ戦(総当たり戦)と言います。
一昨日のポーランド戦では、日本は「引き分け」か「勝利」で決勝トーナメントに出場する権利がありました。
もし、負けたとしても、同時刻で戦っている同じリーグのコロンビア対セネガル戦で、コロビアが勝てば、
決勝トーナメントへの出場権を得られるわけです。
結果、コロンビアが勝利しましたので、
日本は決勝トーナメントへのチケットを手に入れることができました。
ポーランドから1点を入れられた日本チームには、
同時刻に行われていた、コロンビア対セネガル戦でコロンビアが先制ゴールを入れ、
そのまま試合が終わりそうだという情報が入っていました。
ですので、日本は負けていながらも、攻撃を止め、1失点の負けを選びました。
コロンビアが勝てば、日本は決勝トーナメントに出られるからです。
「攻撃は最大の防御なり」
と、いう言葉がありますが、それは同じ立ち位置のときです。
剣道でもそうですが、1本を取られて、時間切れが迫っていたとしても、
時間を気にして、自分の間合い、自分の剣道を行わず、無闇に攻撃していくと、
大体のケースでは更に1本を取られてしまいます。
攻撃には、大きな隙が出来るからです。
どんなに良い試合をしたとしても、負ければ終わりなんです。
歴史に残る「名勝負」でも、必ず勝敗はあります。
負けは負けです。
選手は歴史に残る試合をすることなど考えていません。
勝つことだけを考えています。
ポーランド戦では、もちろん「戦術」を使って勝ちに行きましたが、1点を先取された日本チームは、
試合というモノをよく知っています。
「どんでん返し」が起こる確立をよく知ってます。
あの残り時間で「どんでん返し」をすることは、99%無理でしょう。
そこで、西野監督率いる日本チームは、その試合において、勝つことへの「戦術」を、
決勝トーナメントに出場するための「戦術」に切り替えました。
攻撃には隙が出来ますので、その隙を出さないよう、それ以上失点をしないために、
「防御」という「戦術」を取ったのです。
このまま負けたとしても、同時刻で行われているコロンビアが勝つと確信したからです。
そのまま時間切れで負けになったとしても、決勝戦に出場する事が出来る。
決勝トーナメントに出場することが出来れば、優勝を狙うことが出来ます。
これが「戦略」です。
西野監督は、遺憾なく「戦略」を遂行いたしました。
他国からどんなに批判を浴びようと、目的は「ワールドカップ優勝」ですからね。
「戦術」を用いて「戦略」を成す。
時間切れを待って、決勝トーナメントに向かった西野監督の「戦略」は、批判されるべき事ではなく、
むしろ監督として最大の采配を振るった「戦略家」として、称えられるべきです。
「戦術」と「戦略」は、違います。
リーグ戦(総当たり戦)に勝ち上がった日本。
次は優勝に向かってのトーナメントです。
トーナメントでは、負ければ、その瞬間に敗退です。
「どこまで行けるか?」
など、試合前から、そんなことを言っているようではダメです。
「優勝」
だけを狙って欲しい。
「どこまで行った」
それは、負けた時に使う言葉です。
優勝に向かってGOです。
ASKA(2018/7/01 15:38)
追記:
ボクシング界に史上最強の男
「メイ・ウェザー」
というボクサーがいます。
49戦49勝無敗
で、引退しました。
その試合内容は、KO勝ち以外、毎回のように批判を浴びました。
「勝つ」ことより「負けない」試合をし続けたからです。
あれほどバッシングを浴びたボクサーが、現在ボクシング界では歴史的な男になっています。
当時、大金を払って観に行った観客からは、ボロクソに言われました。
しかし、時が経つにつれ、
今では、
「あのメイ・ウェザーの試合を観たことがある」
と、自慢される選手になりました。
「メイ・ウェザー」
の戦術は、
「負けないこと」
戦略は、
「無敗で引退すること」
でした。
今回の戦略は、決勝トーナメント出場権を勝ち取ることでした。
これで、もし日本がワールドカップで優勝したら、
先日の試合は、優勝への大きな分かれ目であったということであり、
世界の賞賛を得るでしょう。
西野監督は、遠くを見た戦いをしたということです。
今の意見、感想は今のものだから良いでしょう。
トーナメントに進出したんだ。
日本人として、一緒に次の試合を応援しましょう。