山の頂上。

 昨日、これからのことの打ち合わせのような時間を過ごしました。テーマはありません。昔話が主だったですね。前を向いて行くために交わした昔話です。CHAGE&ASKAは、いろんなことをやって来ました。瞬時に思いつくことと言えば、たとえば、ロック、ニューミュージックアーティストで、独立したファンクラブを結成、そして最も早い成功例をつくりました。レーザーディスクを世に広めました。フィルムコンサートツアーをやりました。大規模なアジアツアーを日本アーティストとして初めて行いました。アーティストがチャリティ団体と手を結ぶと、そのアーティストは崩れると言われていた現象をひっくり返しました。世の中には偽善に映ってしまうと言われていたからです。今では、当然のように行われています。ブログ「700番」で書いたアンプラグドライブ出演もそうです。これまで、アジア人で出演したのは、CHAGE&ASKAだけです。こう書いて、思い出したことがあります。あのアンプラグドライブには、ひとつ裏話がありまして・・。僕らの前の週に放送されることになっていたアーティストが、突然、放送中止となったのです。世界的なアーティストです。僕も全てのアルバムを持っているようなアーティストです。放送中止の理由は「ライブのできが良くなかったからだ」と聞かされました。あのようなアーティストでも、平気でNGとなるのです。当時、日本では僕らのアンプラグドライブ出演は、大騒ぎとなっていましたので、そのアーティストの放送中止の理由を聞かされたときの、僕らのプレッシャーはご理解いただけるでしょう。「結局、放送されなかった」では日本に帰れないからです。アジアアーティストを起用するというのは、アンプラグド側も初めての試みであり、どうなるのか、誰にも分かりませんでした。あの時のあの緊張感は、今でも忘れることができません。僕らは、僕らであることに集中いたしました。「自分に自信を持て」と、よく言いますが、それは、間違いだと思っています。自信とは周りが持たせるものです。その気にさせるというやつです。きっと、僕らはその気にさせられたのでしょう。思い切りパフォーマンスすることができたのです。イギリスのクリスマスでは、毎年、その年のアンプラグドライブのベストテイクアーティストがヘビーローテーションされます。一日中、繰り返し放送されるのです。何と、僕らはそれに選ばれました。振り返れば、何もかも初めてのできごとばかりの活動をしていたような気がします。みんながひとつの山の頂上を見上げていたからでしょう。頂上を見上げると言うことは、視線を合わせるということだと思っています。その頂上を夢と言います。夢を見るのはひとりでいい。みんなが夢を語り出したら、いろんな山が見えてしまいます。夢を見るのはアーティストです。スタッフは、その山を教えられたとき、たとえ、異論があろうとも、それを信じ、その山に向かう。これがひとつになるということです。

 

残念ながら、現在はスタッフがいろんな山を見ているのが、僕に取り巻かれた状況です。僕には、その山が見えています。そのひとつは、今年中にアルバムを発売したいということです。今の僕には説得力が備わっていないようです。しかし、景色は見えている。他人の発言にも耳を傾けなくてはいけない。う〜ん、難しい状況ですね。早く、楽曲をみなさんの元へ届けたい。これに向かって、周りを動かして行く。ここは強引だと言われようと、山の頂上を目指します。それに向かって視線を合わせてくれればいい。ひとつの景色は織りなすもの。みなさんには、待っていて欲しい。今、僕に言えることはこれだけです。ありがとうございました。  ASKA