お伝えしよう。

今年2月に、福岡のテレビ局「TNC」(テレビ西日本)で「FUKUOKA」を歌わさせて頂きました。

昨日は、その時のスタッフのひとりが遊びにきてくれました。

 

彼は、30年以上C&Aを聴き続けてくれてる方で、

僕の上海公演なども、奥様とご一緒に観に来られていたのです。

 

あの2月のテレビ出演は、ギリギリ、綱渡りのような状況でした。

 

東京各局、全国放送番組からのオファがありました。

 

あの事件後、多くのメディアによって、僕は「クスリにやられた狂人」に、され

てしまいましたので、その誤解を解くには、全国放送だとの考えもありました

が、同時にマイナス要因も多分に発生すると思ったのです。

 

事件から、まだ約2年半という時間でしたので、いちばん注意しなくてはならな

いことは、

 

「復帰に向けて意欲的」

 

そう、映らないことでした。とにかく「映り方」に全神経を集中させました。

あの頃は、まだ、僕が正常であることを嫌うメディアが殆ど(中には今もいる)

でしたので、僕が正常であろうとなかろうと、僕が公の場に顔を出すことは、

バッシングするにおいて、格好の材料となるからです。

 

僕は、全国放送ではなく福岡を選びました。

アルバム製作をするに至って、

 

「ふるさとが迎えてくれた」

 

福岡からの発信は、それだけで、多くの意味をもたせてくれますからね。

 

ミュージシャン仲間が、ひとつのテレビ局に話を持ちかけてくれました。

すぐに話は進み、僕は、現場製作のスタッフとお会いしました。

メディアであることの責任を重んじ、いま、自分たちができることを慎重に語っ

てくれ、出演日の設定も交わされたのですが、直前で、NGとなってしまいまし

た。

 

「最終会議で通らなかった」

 

と。

 

「我々、現場スタッフは心から応援しています。」

 

その言葉だけで、十分でした。

元々、出演依頼ではなく、こちらが持ちかけた話なのですから、

僕にアドバンテージはありません。

 

地方局が小さな局という理解は間違っています。

全国放送ではやらない、地元に目を向けた発信を心がける局が地方局です。

全国放送よりも視聴率の高い地方番組というのが多く存在まします。

全国に目を向けているか、地元に目を向けているかの違いです。

結果、全国ではない局を「地方局」と呼んでるだけです。なので、その局の

「会議に通らなかった」は、メディアの回答としては、何の疑問もありません。

 

それを聞きつけた東京の番組から、

再度、お誘いを受けたのですが、僕は、福岡にこだわりました。

 

そんな時、偶々、友人のスタジオに顔を出した時に出会ったのが、昨日家に遊びにきてくれた、

TNC」と強いパイプを持ったMさんでした。

 

「その話、僕に任せていただけませんか?」

「任せるも何も、お願いしたい。ただ、ひとつ。この話を進める前に、

 一度、他の局に話を持ちかけたことだけは、正直に伝えてください。」

「承知しました。」

 

その翌日の夕方には「TNC」への出演が決まりました。

様々なことは、もちろんあったのでしょうが、局長さんの、

 

ASKA を福岡が応援するんだ。責任は私が取る!」

 

この一言で、全てが決まりました。

 

「当日は、自局からの生放送となると、メディアが集まってしまう。ASKAを守るために、市内の音楽スタジオから中継しよう。番組宣伝も、前日の夕方から夜にかけての解禁。」

 

自局の視聴率を上げるために、僕を利用していないのがわかりました。

視聴率を上げようとするならば、出演が決まった翌日から番宣を打てば確実に上

げられたのでしょうが、スポンサー対策もあったのでしょう。

僕のところには「ファンの皆様へ」と、いうことで「ブログにおいて前日の〇〇

時に発表してください」と、連絡がありました。

 

放送日には「TNC」の音楽班が、総出で市内のスタジオに集まりました。

 

改めて「僕のふるさとは、ここだった」と、思わされましたね。

放送終了後は、スタッフ全員と握手をし、再会を約束いたしました。

 

「残念」という言葉を使ってはなりませんが、当日の視聴率は低かったのです。

しかし、どこに行っても「番組を観た」という人だらけなのです。

Youtube」を、観る層ではない方たちが、口をそろえるように、

「番組を観た」と、言ってくれる。しかし、視聴率はそれほどでもなかった。

すぐに、その矛盾の答えは知ってしまっていたのですが、僕が語ることではありませんでしたので、それに対して口は開きませんでしたが、昨日のMさんの話を聞かされて、

これは、逆に僕から伝えるべきことなのかもしれないと思いました。

 

通常、生放送の視聴率は高いのです。

そして、その中でも、特に高いのが、

 

「いま、飛び込んできたニュース」

 

です。

 

あの日、北朝鮮の「金正男」氏の暗殺で、メディアは騒然としました。

そのため、視聴者は、ニュースを扱った番組にチャンネルを合わせ、僕の出演番組は、録画をして観たのだということがわかりました。

 

視聴率は録画には反映されませんからね。

 

TNC」は、僕の生放送を優先してくれました。

 

心から、感謝しております。もちろん「会議で通らなかった」と、悔しがってくださった、他局の現場スタッフのみなさん。

 

その方達への恩返しは、

必ずや、たくさんの方々に愛される楽曲を、渾身で作り続けることだと思ってい

ます。

 

Mさん、酔わなきゃ、お話できませんよね。

お約束通り、代わって僕が読者に伝えていますよ。

 

本当にお世話になりました。

ありがとうございました。

 

ASKA