いい天気

のどかだねぇ。

仕事をやり終えた翌朝が晴れていたら、
そうそう。毎回、こういう気分になります。

ベランダのタイルに反射した太陽の光が、
大きなガラスのドアを突き抜けて、部屋の天井を照らしています。

毎度レコーディングの時に福岡から出てきてくれる祥太は、
いつものように、まだ寝てます。

明後日から、昨年10月にリリースした「Black&White」に収録された楽曲のMV撮影が始まります。

今頃かい?

と、思われるでしょう?

もう、今後、時代を象徴とするヒット曲と呼ばれるモノはなくなります。

リリース時に、勢いを持たせる瞬間のプロモーションは確かに大事なのですが、
もう「打ち上げ花火」の時代ではありません。

「どこかで、何かの縁で耳にした楽曲が良かったから、そのアーティストに興味を持つ」

これは、昔から変わりませんが、これからは、それがいっそう重要なことになります。
ですので、それを少しでも形にするために「Black&White」のMV集の撮影に入ります。

僕は、自分が起こした事件により、いろんなことへの気づきがありました。

事件を肯定してしているのではありません。
しかし、あの事件がなければ、その気づきはありませんでした。

今後、この業界に、

「シングル曲」のリリースはなくなるでしょう。

各地のラジオ放送局に、「シングル曲」とは言わない、
そのアーティストを紹介する楽曲が、届けられたらそれでいい。

つまり、アーティストプロモーションがすべての時代に入ります。

なぜなら、ライブを行える力のあるアーティストだけが、しっかりとした位置づけを持つからです。

僕は、20年以上前にこの発言をしました。

「このまま行くと、いつか楽曲は1曲10円〜20円で、何らかの通信により、みなさんの元に送られる」

これが、配信のことだったんですね。
そして、それは、更に進化してストーミングのことだったと気づくわけです。

そして、こうも言いました。

「そうなると、アーティストは音楽で食べられなくなり、アーティストがいなくなってしまう」

もちろん、その時代で突出したアーティストは現れますので、
すべてのアーティストがいなくなるわけではない。

しかし、頑張っているうちに、才能を開花させることのできるチャンスを持ったアーティストの絶対数は、
大きく減ります。

つまり、これを指して「アーティストがいなくなる」と、伝えたのです。

曲を作る人。
歌う人。
演奏する人。
そのお手伝いをする制作の人(プロデューサー、ディレクター、エンジニア、アルバムデザイナー、CDプレス業、他)

そして、その演奏する場を提供するスタジオ。

その完成した楽曲を世の中に届けるレコード会社。
それを、売るショップ。

この構図は壊れます。

いや、抜本的な変化で、すべてが進化するということです。

僕が、今、毎月配信をしているのには理由があります。

いつか、アルバムというものは、ファンの所有したいものでしかなくなります。

そのうち、楽曲とはこうなるでしょう。
例えば、

「ASKA2018年度作品」

と、表記され、試聴により、好みの楽曲だけをダウンロードする時代になります。

そして、もっとも好まれた楽曲を集めたものがアルバム名となってリリースされるでしょう。
つまり、すべてが「ベスト盤」のようになるでしょう。

今後は、シングル曲が評価される時代ではなく、
アーティストが評価されるだけの時代になります。

ですから、エンターテイメントとしてのライブをできるアーティストが貴重な存在となります。

オーディエンスは「名人芸」を観に行くということです。

少し頑張れば、自分にもできると思わせるようなものへ対価は支払われません。
「到底たどり着けない」と思せてしまう「名人芸」が、エンターテイメントです。

そして、そのエンターテイメントを行うには、そこに携わることを仕事とする人たちが必要です。

現在の音楽業界の構図では、それはなされません。

それに気がついているなら、それに情熱を傾けなければね。

一匹狼を気取ってるアーティストは、古い世代の人。
と、言ってアーティストが協力し合う必要はありません。

各が、これに気がついて活動することが大切なのだと思います。

「Weare」から、ハイレゾ音源として配信する「楽曲」のサンプルが上がって来ました。
そのサンプルの音質を確かめ、さらにブラッシュアップした音源のフォーマットを作り上げ、
それが完成いたしましたら、全楽曲のハイレゾ化を行います。

ここまで来れましたのも、
本当にみなさんのおかげなんです。

だったら、その音源は無料にしろ。

その考えには、

おーい!!

と、突っ込ませて頂きます。

今、祥太が起きてきました。

「おはようごまざいます。やたら天気がいいですね」

1曲に8日間。朝までやり続けて完成した楽曲への、
「ひとときの達成感」を、同じ気持ちで迎えた朝のようです(昼ですが・・・)

今日の天気は、僕たちの元気のようです。



ASKA

www.fellows.tokyo