空。
「刑事さんも、検事さんも、もう知っていらっしゃいますよね?僕が何もやっていないことは。プライドのために冤罪を生むのは止めてください。これは、泣き落としだと思われても構いません。母の命が長くないんです。これで裁判になると、少なくとも3ヶ月は、留置されなくてはなりません。ひとりの人として、母親の死に目に会わせないようなことは、そんな非情なことはしないでください。僕を、不起訴にしてください。」
こんな、やり取りを思い出します。
誤解のないよう書いておきますが、僕が不起訴になったのは、上のことが要因ではありません。
ちゃんとした、確証と事実に基づいてです。
そして、今日。
すべてから解放され、何歳の時を取り戻したのか想像はつきませんが、
大きな寂しさと共に、きっと元気になってる母をこれから僕ら家族は見送って参ります。
息子としての、一世一代の仕事です。
やれることは、すべてやったつもりです。
今ですか?
とても晴れ晴れとした、そして清々しい気持ちです。
さて、行って参ります。
ありがとう。