「私の人生、上出来でしょ。上出来ですよ」
タイトルは、先日、お亡くなりになった「樹木希林」さんの言葉です。
あれは、僕が「盗聴」「盗撮」で、苦しみ、実被害にもあっていた頃のことです。
それを信じてくれなかった周りに、「後遺症」と、決めつけられ、病院に強制入院させられた時のことでした。
その病院の95%は、やはり精神障害を煩った方たちでした。
そうではない人もおられました。
ご家族が、何らかの理由で患者となった方の命の危険を感じられ、
全ての行動を監視、看護できるよう病院を選ばれた経緯のある方もおられました。
そこでは、毎週、「カラオケ」や「映画鑑賞」の時間がありました。
もちろん、僕は「カラオケ嫌い」ですので、それには参加しませんでしたが、
「映画」は、楽しみでしたね。
僕の職業柄、お世辞にも「行き届いたシステム」とは言えない、粗末な機材での「映画鑑賞」でした。
何度も観ている「男はつらいよ」「ルパン3世」でも、楽しかった。
その中で、忘れられない映画がありました。
樹木希林さん主演の、
「あん」
と、いう映画でした。
「どら焼き屋」を経営する主人公のお店に立ち寄った老女(樹木希林さん)が、
その店の「あん」への感想を伝えます。
そのお店では、すでに出来上がった「あん」を購入し、ただそれを使って「どら焼き」を売っていたのですね。
彼女は、お店の主人に美味しい「あん」の作り方を教えます。
その味を認めた主人は、彼女をお店で雇うのです。
お店は、たちまち行列ができるほどお客さんが並ぶようになりました。
しかし、それもつかの間、ある噂が流れます。
「あの『あん』を作っている老女は、ハンセン病らしい」
と・・・。
「ハンセン病」とは、かつてこの国では「らい病」と、言われていました。
僕らの子供時代にも「ハンセン病」の方を見かけることがありました。
極めて感染力は弱いのですが、現在も治療法が確立されていません。
人間の持つ本来の免疫力で防ぐことが出来ますので、ほぼ感染はないんですよね。
しかし、容姿(特に顔面)に現れますので、世間ではそれを怖がり、
「ハンセン病」の方には、むごい差別があります。
僕も、子供時代には、近づかないよう教えられていました。
その店で、そんな噂が流れてからは、お客さんはそこに寄りつかないようになります。
その老女は、それが自分のせいであることに気づき、やがてその店を離れるのです。
その人間模様からは「切なさ」しか、ありませんでした。
「ハンセン病」「らい病」を描いた作品には、他に「砂の器」という映画もあります。
樹木希林さんの、演技、表情は「切なさ」を倍増させます。
素晴らしい、女優さんでした。
そして、「死」という、誰もが迎えることへの「気づき」を与えてくれました。
「あん」
ぜひ、ご覧になってください。