この小話。好きなんだよなぁ。

これは、ロンドンのスタジオで、エンジニアから聞いた小話です。

詳細は、覚えておりませんので、こんな感じだったと少々アレンジをしています。

以前、アンコールの止まなかった名古屋で、この小話をしたなぁ。

 

 

 

あるとき客船が座礁し、甲板にいた乗組員、そして乗船客は海に投げ出された。

そして、船内にいた乗客も、海の中へと沈んで行った。

しかし、神によって救われた命があった。わずか5人だけが、見知らぬ島に流れ着いたのだ。

フランス人、アメリカ人、イタリア人、日本人の男たち。そして国籍不明の美女の5人だけが、無人島に流れ着いたのだ。

5人は、しばらく身体を寄せ合ったが、ひとつの答えを出した。

「もう、我々に救助隊が来ることはないだろう。与えられた命、残された命を個々で守っていくしかない。我々は、国籍も違う、文化も違う。一人一人で、生き抜いていこう。」

 

その時だった。アメリカ人が言った。

 

「ま、こういうこった。オレは、好きにやって行くぜ。悪いが、この女はオレがもらって行く。文句のある奴は、前に出ろ!」

 

イタリア人が言った。

 

「君に魅力があるなら、それもいいだろう。女が、私と君のどちらを選ぶか、それが大切だ。私が、口説いて、君を選ぶなら、それはしょうがない。」

 

フランス人が言った。

 

「君が、アメリカ人であり、宝を独り占めすることは、納得はできないが理解はできる。なので、今の言葉は、お国柄ということで、許すとしよう。だがな、女性は物ではない。嫌がる女性を、見て見ぬ振りはできない。女性が私を選ぶというのであれば、話は別だ。決闘を申し込みたい。」

 

「おい!日本人!オマエはどうなんだ!?」

 

「(ずれた眼鏡を直し、ハンカチで顔を拭きながら)えーとですね。

 私、ちょっと、本社に電話してみます。」

 

 

ASKA