話が違う・・・・。

今、4畳半の畳の部屋でちゃぶ台を囲み、出された麦茶の前で、あぐらで団扇(うちわ)をパタパタ。

 

パチンコ屋の開店祝い、そりゃーもー魂を込めてやったわけですが、

10時、15時、19時の1日計3回だと聞かされて、ショックのズンドコです。

先ほど、2回目が終わりました。

 

全員、白粉(おしろい)を顔に塗り、唇は口紅でおちょぼ口にし、

これからのアーティスト、ミュージシャンの夢と未来を真顔で語っています。

 

画用紙に子供が描いたような顔で、音楽の話をするASKAバンド・・・。

 

扇風機が、場を察してか、ひとりひとりを気遣うように顔を振っています。

 

「じょーだんじゃ、ないわよ!!」

 

小太鼓のメッケンが、汗びっしょりになった着物の帯を締め直し、

ひたいにバンダナのようなものを巻いた顔で、ぷい!と、鏡に向かいました。

 

江口 

「なんでぇ、なんでぇ。しけた面は似合わねぇよ。」

旭   

「おいらはよ、これが新しいストリートライブじゃねぇかと思うんだが、

 おめーさん達は、どうなんでぇい?」

鈴川(マッキー)

 「どす、どす。そうどすなぁ。そう思えば、心も軽ーなりますなー。」

萩原(メッケン)

 「(座布団から立って)あたしゃね、イヤだって言ってんじゃないのよ。これが、イレブンの10円話にどうー繋がるかが、知りたいの!どーなの!イレブン!!」

 「そこが問題だったとは思わなかった。今は、私を信じて欲しい。

  今日、みんなが受け取るギャラは1万円ずつ。計5万円だ。プラス、

  ビラまきで5000円。それは残業の前倒しだ。弁護士を交えての交渉では、

  5万円だった。これから、全国パチンコ屋開店祝いツアーが始まる。みんなも、

  テレビやラジオ、新聞で知識を得ていると思うが、10円で新幹線には乗れない。

  だがな、だがな、乗ってしまった私の体験は、世の中に伝えなければならない

  使命を持ってしまった。10円が5万円より大きなお金になることもあるというこ

  とさ。」

全員

 「(立ち上がって同じセリフを言う)10円が・・・5万円より!?」

 「さ、ここを終えたら、次の街だ。ストリートライブじゃない。これは、

  キャパの制限のない、毎日が野外ライブだ。」

全員

 「イレブン!!」

 

あと、一回やったら、楽器を積みます。その車にはエンジンがありません。

リヤカーです。引くのは私です。

 

「ふふ・・・。」←なんか企んでるように見えるぞ!!!

 

さて、今日の作業が始まります。

明日は、雨が降ることになってるんです。

降らなくてはならないのです。

 

それでは、

ドロン。

 

 

ASKA