10円-4-
10円 第4章
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さ、3章はあらすじで終わりかい!!
前号までのあらすじ
前号までを参照・・・←お前、絶対、営業できないだろ!!
「◯万◯千◯百50円です。イレブン。」
車掌に言われた◯万◯千◯百が、まるでお使いを言い渡された子供が、落とさないようにしっかりと握ってるお金のように、ぴったりとあったのです。
「はい。まずこれね。あと、10、20、30、40円・・・。」
なんと、運がいいんだと思いました。10円なら、ポケットや、カバンの底に、いつもうるさいくらいチャラチャラとありますので。
「ちょと〜待ってぇくださいよ〜。」
「・・・。」
「10円・・・10円っと・・。そ〜んなに見ないでねぇ〜。」
「・・・。」
まずは、期待のポケットにはありません。
「あはっ!ないっすね😁」
ゴーーーーー←一応、新幹線内部の音
「カバン、カバンっと。」
「・・・。」
ない・・・。ない!ない!
「だ、大丈夫。」
「・・・。」
指をシャベルのようにして、何度もゴソゴソと。
封筒やらパスポートやら、書類やら、束になった領収書やらかき分けて、とにかく何度も何度もゴソゴソと、10円を。
しかし、な、ないのです。10円・・・が・・・。
「◯万◯千◯百40円でしたっけね?」
「50円です。」
「あーそうそう。だはっ!そうでした。50円でしたね。」
ダメだ。この手は使えない。この車掌、仕事できるかも。
「車掌さん、元CIAにお勤めだったとか?」
「ずっと、東海道旅客鉄道職員です。イレブン。」
ありません。カバンに頭を突っ込んで見ました。
真っ暗でした・・・。マズ・・・。なんとかせねば(⌒-⌒; )
そうだ💡 あの手を使おう。
「私は誰でしたっけ?あれー?私、誰っだけ?」
「・・・イレブン。」
「あ、そうそう。それそれ、イレブンでしたぁ。車掌さん、正解!」
「・・・。」
「実は・・・2036年の未来からドーンと、いや、ぐいーんと・・・。いや、ちょっと、違うな。なんて言うんだろ。」
「(真顔で)ピューっと・・・。」
「あ!そうそう!!それ!ピューっと飛んでく、
てーつじん、にじゅーはっちゴぉーで、やって来たのです
がね。実はですね。ちきゅーぼーえーぐんの、ちょっと、
耳、いいです?実は、秘密ですよ。絶対ですよ。」
「・・・。」
「ミッションがありましてね。そりゃもー未来が大変ていうか、この危機を乗り越えるには」
「イレブン、いま、あなたが危機なのではないですか?」
「まったぁ!憎いねぇ!このメンタリストー!!」
「・・・。」
「(開き直り)ない!」
「何がですか?」
「じゅーえんですヨ!じゅーえん。10円っ!!」
「・・・。」
「ドルならあります!ほら!!ほら!!!」
「日本です、ここ。イレブン。」
「あれ?使えませんでしたっけ?」
「駄菓子屋でも・・・。」
ダメだ・・・。できるわ。この車掌・・・。
「どーしましょうね?これ。どうやら、本人、企んでやったことではないようですし、ここはもう許してあげましょうか?」
「許しません。・・・イレブン。」
ゴーーーーー←再び、新幹線車内の音・・・。
な、なんとか取り込まなくては・・・。
「車掌さん。例えばですね。見ず知らずの外人さん、そう!外人さん
が、日本ってすばらしーなーって思ってる外人さんが、旅の途中で、
例えばですよ、たとえば。10円がなくて困ってたとしましょう。
あ〜かわいそう。ね?あ〜かわいそう。その時、たとえば、車掌さん
のような、なんっていうかなぁ。そう!ハンサムな日本人が、通りか
かるわけですよ。すっごーいハンサムな。ね?もし、そのハンサムな
っていうか、車掌さんなら、どうします?ハンサム車掌さん!!」
「困っているなら助けてあげますね。」
「ですよねぇ!!10円ちょーだい。」
「・・・あげません。イレブン。」
「あ、あ、あげません!?って、言いました!?」
「はい。入れ便。」←わざとではないです。通過します。
「10円ですよ。じゅーえんっ!!」
「仕事ですから。イレブン。」
「イレブン、困るん・・・。」
「イレブン。京都で降りてもらえますか?」
「な、な、なんどす?車掌はん兄はん・・・。」
「イレブン、ごめんなさい。京都で、」
「(ハンカチ噛んで、両手を合わせ、涙目で首を振りながら)いやや!降りまへん!!」
その時でした。先ほどのパーサー(車内販売。売り子さん)が、
通りがかったのです。
「どうされました?」
つづく・・・