「YouTuber」

先ほど、ふと、目についた動画がありました。

「YouTuber」の一人、「ジョー」という男の動画です。
「ジョーブログ」という名で更新されています。

その「ジョー」が、昨年「アフリカ縦断」した時の動画を見てました。
彼とは、一度面識があります。

「今度、アフリカを縦断するんです!!」
「アフリカは、安全な所と、本当に命を落としてしまう所があるから、気をつけるんだよ」

なんて、会話をしたんですよね。

渡航後は、最初のわずかな「所持金」しかなく、
その日々更新される「旅動画」を視聴している視聴者が、

彼の「インスタ」にある「イイね」を押すことで、
それが彼へのカンパとなり、そのカンパで食いつなぎながら、

アフリカを縦断する仕組みになっていました。

昨年5月にエジプトに到着してから、

ジョーの「アフリカ縦断の旅」が始まりました。
約半年間かけて11月に縦断を達成いたしました。

縦断の方法は「徒歩」、「自転車」、

そして「ヒッチハイク」などが主でした。

 

寝泊まりは、「野宿」、カンパで得た資金での「極安ホテル」、

その場所で知り合った「現地の人の家」、
それから彼の旅を「YouTube」で観ていたアフリカに住む日本人など、

様々でした。

縦断を達成した彼の言葉で、印象的だったのは、

「この世界は、思った以上にオープンだ。人を判断するのも大事だが、人を信じることを忘れて欲しくない。
この旅で得たものがある。自分の見たもの、感じたことがすべてだ」

と、いうことでした。

本当にそうなんだよな。
ジョーの旅で、上の言葉に強くうなずける出来事がありました。

彼は、観光ガイドや、その街のことを知っている人たちに、

「流しのタクシーに乗ってはいけない。観光客のほぼ100%が、ボッタクリ、そして危険な目に遭う」

と、言われていたんですよね。

でも、彼は、自分でそれを確かめたかった。
「と、いう話」「情報」というものに、

いかに惑わされていないかに身体を張ったわけです。

一台のタクシーに乗り込んだジョーは、

やはり不安を隠せていなかったですね。
そんな彼は、ドライバーに対してテクニックを使いました。

「この街のタクシーに乗るなと言われた。危険だと言われたが、本当なのか?」

と。

ドライバーは、こう答えました。

「そういう悪い奴もいるけど、自分は大丈夫だ。この街の人間はいい奴が多いよ」

これ、心理操作ですよね。

どの国の人も、街の人も、自分の暮らしているところを愛してますし、
旅の人には親切にしたい。悪い印象を与えたくない。

とは言っても、やはり発展途上国では、危険な目に遭いやすい。
かなりの覚悟だったでしょう。

先進国でも、海外の場合は危険が伴うものです。

僕も、ロンドンに住んでる時に、1度だけ、そんな場面に遭遇しました。
ある駅で電車を降りた後、一人の男が声をかけて来たのです。
僕より背の高い白人でした。

「どこに行くんだ?」
「〇〇に」
「ああ、それなら、ちょうど自分も行くところだから、一緒に行こうよ」

まぁ、断れません。

イギリスには「A to Z」という地図があります。

「A」は、アルファベットの始まりです。そして「Z」は最後。
つまり、その「A to Z」は、「1から100まで」というような意味合いです。
全ての道路が、これに描かれてるということです。

僕が、「A to Z」を持っていたことを、その男に見られたのだと思います。
男が言いました。

「こっちだよ」
「地図とは違うよ」
「その道、今工事中で通れないんだ。こっちの方が近道だから」

方向的には、違ってはいませんでした。
疑って気分を害させるのもなんだなと思い、一緒に歩いたわけです。

「日本人なのか?」
「そうだよ」

後から思えば、それ、確認だったのだと思います。

「日本人は金を持ってる」

は、世界共通認識でしたからね。
どうでもいい話をしながら、次第に危険なムードが漂って来ました。

横に並んで歩きながら、男は、少しだけ遅れて歩こうとするのです。
勘づきましたので、僕も歩みを遅らせて、男に並びます。

並ぶと、また、さらに遅れて歩こうとする。
背中には目がありませんからね。

僕は、もう、両手が使えるように、

地図を丸めてギチギチにポケットに突っ込みました。
何が起こってもいいように。

決して男の前を歩かないようにしているうちに、

とうとう歩みは止まってしまいました。
もう、そういうことでしょう。

僕は、先に大きな声で威嚇したのです。

「俺から、離れろ!!!」

男は、両手の手のひらを立て、

「まぁまぁ」

と、僕をなだめるような仕草をした後、

「またな」

と、言って去って行きました。

イギリスでも、そうなんです。
それが「アフリカ」となれば、危険は命に関わることにもなるでしょう。

タクシーに乗り込んだジョーは、ドライバーに心理戦を使いました。

「この街のタクシーは危険なのか?」

と、聞くことで、ドライバーを良い奴にしてしまったのです。

悪い人も、良い人の前では、良い人のフリをするものです。

半年かけての縦断。

手に入れた自転車がパンクしたり、盗まれたり・・・。
アフリカから動画を送るために、必死で「Wi-Fi」を探しまくったり・・・。

その送られて来た動画を編集して、YouTubeにアップしていた仲間のセンスも良かったですね。

あれは、視聴者参加型の「旅動画」でした。
作品でしたね。
良い作品でした。

視聴者登録数も「100万人」を優に超えています。

ただ、作品を作っている者同士として発言させていただくなら、
作品とは「ウケが良いもの」という錯覚に陥ってはならないと思うんだ。

視聴者が求めているのは「共有」だ。

先日のは、ちょっとやり過ぎたね。
その線引きは、非常に難しい。

自分の好感度を上げるために、他人の行いを利用してはならないよね。
自分が「良い人」の振る舞いをした瞬間に、相手を「悪い人」として世間に見せつけることにもなるもんだ。

ジョー君の「体当たり動画」、僕は好きですよ。

今、向かい風で大変だろうけど、
それは「全国区」になった印です。

インフルエンサーとなって立ち上げた「クラウドファンディング」が

「詐欺」と言われてしまったのは、同情するかな。

クラウドファンディング」は、言えば「投資」ですので、
失敗しても「投資者」は、文句は言えません。

ただ、それは、しっかり「数字」を説明できてのことです。

そして、これだけは言えること。

利益を掲げたビジネスは、ほぼ失敗します。
使い古された言葉ですが、「利益は、後からついてくるモノ」です。

「YouTuber」を、真っ向から否定している人がいますが、
世の中を楽しませる「YouTuber」なら、それは、ちゃんとした仕事です。

また、たくさん、楽しませてください。

「アフリカ縦断」は、楽しかった。

 

www.fellows.tokyo


ASKA