明日から、また始まります。

自宅に戻りました。

 

昨夜は、みなさんが書かれているとおり、ASKAバンドの一木君、そして、古ちゃん(古川昌義)のライブに飛び入りをしました。

 

歌うことは5日ほど前に約束をしました。急遽、「FUKUOKA」のレコーディングが決まった夜のことでした。

電話での 一木君とのやり取りでした。

 

ASKAさん、僕と古ちゃんでライブをやるんですよ。」

「おっ!? いつだ?」

「レコーディング日の2日後です。」

「もちろん、行くよ。」

「一木の歌も、古ちゃんの歌も聴いてみたいなぁ。何時間やるの?」

「ふたりで2時間ほどです。」

「構成はしっかり決まってる?」

「いえ、ダラダラやります。」

「お客さんは?」

「50人マックスぐらいですかね?」

「へぇ。それなら古ちゃんはガットギター入れたばかりだし、覚えてると思うので、オレ、飛び入りして「FUKUOKA」を3人でやろうか?」

「ホントですか!? やりたいです。やりましょう!」

 

7日、古ちゃんの演奏は1時間ほどで終了しました。

「FUKUOKA」の完成です。

終了後、ふたりのライブの話になりました。ふたりがライブでコラボする曲の練習を始めたのです。どうやら、持ち歌を披露した後は、ふたりで井上陽水さんをやるようなのです。陽水さんなら、僕も負けません。

3人で陽水さん曲の大合唱になりました。

それぞれが、陽水さんのマネで歌うので、歌いながら笑いっぱなしなのです。

僕は、「飾りじゃないのよ涙は」が、持ち歌です。

似てると思います。自分で・・・。相当。かなり・・・。

 

「わはは!! ASKAさん、それやりませんか?『FUKUOKA』と、もう1曲やりましょうよ」

「いやいや、ふたりのライブだから『FUKUOKA』だけにしておくよ。」

 

当日、僕は4時間の秘密会議が白熱し、ライブには1時間遅れで駆けつけました。

席に着くと、古ちゃんが若いアーティストをステージに上げ、ギターの弾き方を教えていました。僕も、頷きながらそれを観ます。

 

「バッキングギターはね、弾くだけじゃダメなんだ。弾きながら、同時に自分がドラムになることも必要なんです。ちゃんと、例えばベース弦をドラムのように鳴らしながら、リズムをキープした上で進行していきます。そうすると、聴いてる人も気持ちがいいし、まず、歌い手が歌いやすい。ギターが上手く聴こえるか、聴こえないかは、だいたいここですね。」

 

なるほど・・・。考えたことがありませんでした。古ちゃんの演奏が気持ちいいのは、ここにポイントがあったようです。たいへん勉強になりました。

ふたりの若いアーティストにギターを教えた後、古ちゃんは7曲演奏しました。

ギター演奏だけの曲を3 曲。インストですね。

トミー・エマニュエルを観ているようでした。

オーストラリアが生んだ稀代のギターリストです。

興味のある方は、Youtubeを観てください。

 

「Tommy Emmanuel - Guitar Boogie」

 

そして、歌を4曲。オリジナルはもちろん、エルビス・プレスリー、そしてビートルズの「RAIN」は圧巻でした。元々、ピッチの良いボーカリストでありますので、歌が上手いのは当然なのですが、彼のシャウトを聴かされるのは初めてだったですね。驚きました。

 

そして、一木君。

彼は、福岡県を越えて、多くのミュージシャンが彼の元にボイストレーニングを受けにやってくるぐらい上手いですからね。ミックスボイスも3種類ぐらい使いこなします。

1曲目は、陽水さんの「ジェラシー」でした。

ジェラシ〜♪

 

マネはいいから・・・。

そして、中盤を過ぎた辺りで一木君から、ステージに呼ばれました。

歓声、拍手は、素直に嬉しかったですね。

今回のアルバムは、かつてないほどの苦境に立たされました。仕方ありません。

自分が撒いた種です。

楽曲の多くは、自宅にて作りあげていましたが、やはりギター、ドラム、ピアノ、ベースは生音にしたかったのです。

僕の自宅で鳴らしていた、サンプル音源では、ゴージャスになりません。

スタジオにて、生音と差し替える作業を試みたのですが、都内の何処のスタジオも、コンプライアンスの問題で、僕には貸してくれませんでした。

 

「自分のスタジオがあるじゃないか?」

 

そうです。しかし、スタジオ稼働のスケジュール管理は他社に任せてありますので、その会社のコンプライアンスに引っかかって、結局、自分のスタジオも借りられない状況を突きつけられました。

万事休すです。

その後、いろいろなことがあったわけですが、ここでは割愛します。

 

そんなとき、僕に対してドアを開いてくれたのが、故郷福岡でした。

スタジオは9月22日から25日までの空きしかありませんでした。

ここからが、僕のミラクルです。

ピアノのチカちゃん(澤近)は22日から25まで空いてると。

メッケンは23日から26日。

ドラムの江口は25日から福岡入りなので、23、24日は空いてると。

 

彼たちのスケジュールを押さえるのは、大変なことなのです。みんなが22日から25日に集結してくれることになりました。スタジオとメンバーが、予めスケジュール調整をしてくれていたような出来事でした。

 

そんなことをステージで語りました。お客さんは、一木君の仲間と生徒さんが殆どでした。生徒さんたちは、みなさんスタジオで我々のケアをしてくれました。

13曲目にできた「FUKUOKA」は、ピアノとガットギターだけの編成です。

「ギターでつま弾く感じの曲」と、お伝えしたように、澄み渡るサウンドになりました。

歌詞の中で「僕のニューシネマパラダイス」と、いう一節があります。

これは、映画「ニューシネマパラダイス」のことです。この映画は幼い主人公が、やがて青年になり、恋をし、そして中年になり、老人となって行く人生のドラマを描いたものです。

 

 映画も素晴らしいのですが、挿入されたテーマ曲が心に残ります。とにかく美しい。「FUKUOKA」のイントロでは、その「ニューシネマパラダイス」を、意識したメロディを奏でてあります。イントロだけで、チカちゃんは2時間費やしました。アルバムの入り口を見事に果たしてくれるメロディだと思います。

 

久しぶりのステージ。ハンドマイクを持つ感触。暗がりの視界に映るお客さん。

僕は、大事に大事に「FUKUOKA」を歌いました。

歌い終わって、席に戻ろうとするとき、古ちゃんが、

 

ASKAさん・・・。ASKAさん!1曲ということはないでしょう?」

「え?何?」

「もう1曲やりましょうよ。」

「やりたくても、オレ歌詞知らないよ。」

 

一木君と、この流れを打ち合わせしていたようです。歌詞カードが出てきました。

 

「あ、これなら歌える。知ってるこの曲は。」

 

ピアノから始まるイントロを一木君が弾き、僕は「はじまりはいつも雨」を歌いました。

 

温かいライブだったですね。最後はアンコールで、ふたりが「夏の終わりのハーモニー」を歌いました。

 

マネはいいから・・・。ふたりとも・・・。

そこは違う。もっと鼻にかけなきゃ陽水さんにはならないぞと。

玉置はどこに行った?

 

このライブには、C&Aのファンの方たちも、早くからチケットをゲットされ、来られていました。

 

僕の登場には驚かれたことでしょう。ホントに、電話ででしたが、立ち話のような経緯で決まったことでした。

 

その中のひとりの方から、

 

SNSに、このことを書いていいですか?」

 

と、丁寧に質問をされたので、

 

「任せるよ。」

 

と、答えました。

一木君は、クローズドの出来事にしたかったようですが、こういうことは同じミュージシャン同士だからできたこと。

人生ハプニング。

書かれた方は、どうぞお気になさらずに。

守ろうとしてくれた一木君に感謝。

この出来事を、みなさんに伝えようとしてくれたあなたに感謝。

 

ふたりともに「ありがとう」です。

 

音楽は素晴らしい。

そんな夜でした。

 

明日からは、いよいよミックスダウンが始まります。 

 

ASKA