今日は、皆さんのお好きな「不思議な縁話」です。

僕は、アイデアを買われて、ベンチャーの皆さんが集まるパーティや、勉強会に、

よく招かれていました。

 

あれは、2012年の頃のパーティだったでしょうか。

 

将来、インドの大統領になるのではないかと言われている人でした。

彼が、ステージにから、こう話したのです。

 

「今日は、お集まりいただきありがとうございます。私は、インドの発展のために、

インドと日本のかけ橋となって頑張っています。これまで皆さんには、多大な投資をしていただき心から感謝しております。皆さんには『あいつは、いつも金ばかり出させやがってと、思われていることでしょう(笑) 今日は、インドにおいて3本の指に入る資産家を連れてまいりました。どうぞ、今日は、直接、彼とビジネスの話をされてください。」

 

そして、その資産家にマイクを渡し、資産家は丁寧に自己紹介をした後、アジアの発展について、語りました。

 

その最中です。またいつもの「あれっ?」が、僕に始まったのです。

 

「この人とは、どこかで会ってる。話もしている・・・。」

 

以前、お伝えしたように、僕は相手の目が脳にインプットされます。

記憶のページをバタバタとめくりました。

そして、たどりついたのです。

 

彼は、集まったベンチャーの方々と、一人ずつ会話をしながら、テーブルを回っています。

 

そして、僕のテーブルにやってきました。

初めての挨拶は彼からでした。

 

「初めまして。〇〇です。」

 

僕は、手を差し出し、握手を交わしながら、こう答えたのです。

 

「初めまして。シンガーのASKAです。でも、私たちは初めましてではありませんよ。」

「・・・? どこでお会いしました?」

「お住いは、ボンベイですよね?」

「そ、そうです・・・。」

「やっぱり。お久しぶりです。」

 

資産家は、戸惑っていました。

 

1990年頃のことだったと思います。

ロンドンと日本を行き来していた僕は、仕事を終え、日本に帰国する飛行機に乗りました。

 

直行便で11時間。

しかし、その日の飛行機はインド経由で日本だったのです。

 

シートベルトをし、本を読んでいたのですが、一向に眠くなりません。

やれやれと思っていました。

 

隣の席の外人さんも、同じような様子でした。

 

「退屈ですね。」

「そうですね。」

 

それから、しばらく会話をしました。

もちろん、僕が日本のシンガーであることもお話しました。

 

彼は言いました。

 

「私は、インドで小さな会社を経営しています。もし、ボンベイに来られることがありましたら、ぜひ、私の会社を訪ねてくださいね。いつか、インドでもコンサートを開いてください。必ず観に行きますよ。」

 

そんな会話をしたり、仮眠を繰り返したり。

 

そして、飛行機はボンベイに到着しました。

彼は、別れ間際に一枚の名刺を差し出してくれました。

 

「コンサート、待ってますよ。」

「はい。いつかは必ず。」

 

そして、握手をかわし、僕らは別れました。

 

そして、いま、その手が再び繋がっているのです。

20年の時間を経て。

 

「僕を覚えていませんか?」

 

怪訝な顔をしています。

 

「ロンドンに、よく仕事で行かれてましたよね?」

「はい。なぜ、それを知ってるのですか?」

 

1990年ごろ、ロンドン〜ボンベイ便で日本のシンガーとお話をしませんでしたか?」

 

彼は、少し、考え、

 

「あ、はい! そのようなことがありました。」

お久しぶりです。その時のシンガーです。」

 

それを見ていた周りの人たちは、本当に驚いていましたね。

 

飛行機の中で、彼は「小さな会社を経営してる」と、僕に言いました。

 

とんでもない。

インドを代表する超大会社の社長さんだったのです。

 

「インドでのコンサートの約束、忘れていませんよ。」

「私も、覚えていますよ。必ず観に行くと約束しました。」

 

インドか。

約束を果たさなきゃ。

 

 

ASKA