カブトガニ
今、小学校時代の同級生が、母に線香を上げに来てくれました。
先日も、関東在住の、同じクラスだった女子(今は、立派なおばさん)二人が、僕の新居に遊びにきてくれました。
なんだかねぇ・・・。
ずっと、続いてるんですよ。
今日の友人は、ブログを読んでくれていまして、
「そうやもんねぇ。オレたち、定年やけんなぁ。」
と。
そして「沼のワニ」の話から「カブトガニ」へ。
「カブトガニば、学校に持ってきたろうが?あれ、忘れん
もんねぇ。」
そうでした。
そんなことがありました。
僕の父の実家は、海のすぐ側でしたので、近くの朝市では、捕れたばかりの魚やカニ、タコなど、魚介類が、ずらりと並べられ、セリが行われていたのです。
それを、いつも見に行っていました。
幼少の頃から、何度カニに指を挟まれたことか・・・。
6年生の時だったかな。
クラスの誰もが「カブトガニ」の存在を知らないのです。
甲羅が、戦国武将の兜(カブト)の形をしていることから「カブトガニ」と言われるのだと聞いていたのですが、今、調べましたら、どうやらそうではないようです。
名前の由来については、はっきりした説を見つけることができませんでした。
大きなカニです。子供が、胸いっぱいに抱えるくらいデカイのですが、食用にはならないため、市場では、端っこの方に、追いやられ、捨てられていました。
今では「天然記念物」に指定しているところもあるようです。
ある日、僕は、こう思ったのです。
「これを、クラスの仲間に見せてあげよう。」
父の実家から僕の家まで、当時、車で2時間半かかりました。
日曜日の夜までは、動いていたのですが、翌日の朝には死んでいました。
それでもいいんです。
「カブトガニ」の存在を教えることが目的ですので。
学校まで、約1キロ。
運びましたよ。
で、朝礼が始まるまで、クラスは大騒ぎでした。
「化石」と、言われる珍しいカニですからね。
さて、一通り、みんなが騒ぎ終わった後、このカニをどうするかなのです。
「先生ば、驚かそうぜ!!」
全員、一致。
教室には先生のデスクがありましたので、そのデスクの上に「カブトガニ」を置き、その上から雑巾を被せ、先生が来るのを待ったのでした。
普通は、先生が来るまで、ワイワイガヤガヤしているものなのですが、その日は、全員着席しているわけです。
どうなるかの予想がつかないため、みんなシーンとしています。
教室のドアが、横にスーッと開き、担任先生が入って来ました。
まぁ、変ですよ。
みんな、全員で先生の顔を見ているわけですから。
「なんか?何事か?」
みんな、だまーっています。
学級委員が「起立!」と、言う前に、先生、気がつきましたね。
盛り上がった雑巾に。
「(ニヤリ)これは何か?」
クラスの中には吹き出す者もいましたが、大半は、真顔でした。
先生、しばし、じっと見つめてるのです。
そして、もう一度、
「これはなんか?(ニヤリ)」
で、おそる恐る雑巾を一枚めくりました。
大人の、あんな声聞いたのは初めてでした。
「ギエっーーーーー!!!!!!!」
全員、大笑いだったのですが、笑わない人がひとりいました。
先生です。
「なんかーっ💢!!?? これはっ!!!」
まだ、一枚しかめくっていないのに、
これですから・・・。
後から聞いた話では、その先生、この類のものが、最も苦手だったようなのです。
もう、真顔・・・。
「だ、誰かっ💢!!??」
「持って来たとは、誰かっ!!!!」
参りました・・・。
ああまでエキサイトされるとは思いませんでしたので。
「も、持って来たとは、誰かぁ!!!!」
今度は、生徒が真顔になってしまいました。
「だ、誰かっ!!??」
僕は、仕方なくそうっと手を上げたのです。
「お前かっ!!!」
と、怒鳴る先生の目が周りを見渡すようになって行きました。
ん?
振り向くと、一人ずつ男子全員が手を上げていたのです。
「ちょ、張本人は誰かっ!!!」
また、全員です。
「す、捨てて来い!!!」
僕と、もう二人の三人で、ゴミ焼き場に捨てに行きました。
途中、廊下で大笑いしながら。
きっと、あの時、先生は「カブトガニ」を、確認していなかったはずです。
大人が、あそこまで怖がった姿を見たのは初めてかもしれません。
その日、下級生の間で、
「ゴミ焼き場に化け物がいる」
と、騒ぎになっていました。
「カブトガニ」
です。