父が、90歳で剣道「八段」に挑戦することを決意いたしました。

鹿児島-福岡-東京

昨晩、戻ってきました。

実は、今回の九州は、友人「山之内」の「会社設立記念パーティ」と、
今月末に90歳を迎えることになる父の誕生日のお祝いも兼ねてだったのです。

今月末、僕はリハーサルに入っていますので、
早めの「誕生日」のお祝いでした。

少し前に聞かされていたことがありました。
来年6月、父が90歳にして「八段」を受験することを決意しました。

これまで、長い間「八段受験」を勧めてきていたのですが、

「自分の剣道は八段には相応しくない」

と、頑なだったのです。

みなさんの中にはご存知の方もおられるでしょう。
父は、「全国高齢者剣道大会」で、過去7回優勝しています。

この大会は「年齢別」です。
「年齢別」の詳細は覚えていません。

例えば「70歳から74歳」「75歳から79歳までの部」

と、いう風に分けられます。

その大会で7回の「日本一」は、剣道界の記録でして、
来年出場となれば、8回目の優勝に向かって自己更新となります。

このブログを、ずっとご覧になっています方は、
「試合」と「昇段審査」の剣道の違いを理解していただけているはずです。

「昇段審査」は、

審査委員のしっかりした着眼点に沿った剣道をしなくてはなりません。

先日、僕が3戦全敗しましたのは、
注目されていたこともあり、その「しっかりした剣道」を、心がけてしまったことで、自分の本来のリズムを失ったことが敗因であったと、自己分析いたしました。

相手剣士が20代であったことが理由ではありません。
つまり、試合用の剣道をしなかったことが敗因だと思っています。

それに気がつきましたので、6日後に行われた大会では、
自分のリズムで、試合用の剣道ができました。

また、その4日後の「ねんりんピック」でも、

同じように試合用の剣道ができました。

YouTube」のコメントに、

「小手に対し、タイミングを合わせられたと仰っていますが、あれは右足の誘いと面を少し差し出され、面を打たされただけです」

とのご指摘がありました。
ご考察、ありがとうございます。

僕は、先日の優勝を、「YouTube」で相手剣士が見ておられていたと思っていましたので、先日の「飛び込みメン」を、あの瞬間使いませんでした。

僕の「飛び込みメン」に対し、

相手は返し技で応じてくるだろうと読みました。

 

ですので、あえてタイミングを外すよう、一度、手元を上げ、
時間差をつくって「メン」を打つ攻撃をしたのです。

これは、日頃学生と稽古をしています中で、学生が使っていた技でした。
時間差をつくると、相手は「出小手(僕が打たれた出ばなの小手)」を空振りしてしまうのです。

しかし、

それは学生たちのスピードに合わせる中で有効打となるものでした。

 

シニアですと、その時間差は生まれず、こちらがタイミングを外したつもりで打った「メン」が、「タイミングを外した」とは、ならなかったのです。

ご覧になられれば、お分かりになっていただけると思いますが、
あの日、「ねんりんピック」での2試合で、あの手元を上げた「メン」は、1回しか使っていません。

「打たされた」のでなく「誘った」ことが、裏目に出てしまいました。
だんだん「シニア」での戦い方が、わかってきました。

話を戻しますね。

そのような試合での駆け引きは「昇段審査」においては無用です。
「五段」「六段」「七段」「八段」と、段位が上がるごとに、

審査委員の着眼点も変わります。

一層「風格」を求められるのですね。
もちろん「風格」だけではありません。

相手の攻撃を読み、その攻撃を封じ込め、

しっかりとした打ちで1本を決めることが要求されます。

父の剣道は、僕と同じで「応じ技」ではなく「攻撃型剣道」です。

「八段」となると、相手が攻撃できない「気」を発する「気」の応酬です。

 

来年、6月に京都で行われます「八段」の昇段審査に向けて、父は持ち前の「攻撃型剣道」を、「八段の剣道」へと、剣風を変えなくてはなりません。

「八段」は、1000人受験して、合格者は2~3人という剣道界最高位段です。
剣道において頂点となりますのが「八段」です。

過去7回の「日本一」は、関係ありません。

これまで「92歳」にして「八段」を受験された先生がいらっしゃったことは聞いています。

今年の「高齢者大会」では、父は車庫のシャッターで、右手中指を粉砕骨折していまい、無理を押して、9本の指で試合に挑みましたが、やはりそれまでの父の剣道ではありませんでしたね。


もう、骨はありませんので、父の指が元に戻ることはありません。

先日も、お話ししましたが、現在では9本の指で握った竹刀を、
その後の稽古により、「脳」が10本に「錯覚」させているようですので、

動きも元に戻っています。

父は、

「剣道人生の想い出にしておきたい」

と、来年の「八段受験」に向けて稽古に励んでいます。

90歳にして「八段取得」となれば、剣道界、初めての出来事になります。

父は、自分のことですので、ある意味逆に「他人事」のように振舞っていますが、息子の僕とっても、剣道界にとっても、高齢者社会においても、
その決意による出来事は「ドキュメント」ですね。

どのような結果になるのかはわかりませんが、

「剣道人生の想い出」

と、なるなら、息子としては応援したい限りです。

 

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