歌は伝えること、文章は理解させることが必要。
上のタイトルは、心がけていることです。
先日より、書いてきましたが、今回の事件を検証するために「700番 第3巻」を、執筆中です。
音楽をやるために、音楽を聴いてもらうためには、必要なことだと思っています。
焦点は、
「なぜ、僕が尿ではなくお茶にすり替えたのか」
僕のアーティストスタイルから、今回のことでの記者会見はありません。
「本では、読んだ人しか分からない」
そんなことはありません。ネット拡散の威力を我々は、知っています。
今、出版社の担当の方とお話をしました。
3巻の抜粋部分をブログの読者に読んでいただこうと。
近々、書き上げる予定です。まだ、校正も何も入ってはおりませんので、本では、内容が変わる部分もあるかもしれません。
700番 第3巻
「お父さんは、何もやっていないんだから大丈夫。直ぐに帰ってくる。」
私は、不安そうに見つめる息子の目を強く見つめ返しながらそう言った。息子の携帯が音を立てる。
「はい。そうですか。分かりました。伝えます。」
組対五課の飯島と、話をしているのだ。私は、その電話を取り上げた。
「飯島さん、どういうことですか?」
「あ、ASKAさん。お聞きしたいことがありまして。」
「それはいいんですが、家の周りは、もう報道陣で溢れかえってますよ。」
「ええ。そのことでお聞きしたいんですよ。」
「聞きたいという状態ではないです。どうしてこうなっているんですか?」
「私にも、分からないんです。」
「分からないって。警察が発表したから、こうなってるんでしょう?」
「なので、話を聞かせてもらえませんか?」
「もう、逮捕状が出ていると発表されていますが、それは本当ですか?」
「そのことも含めてお話を聞かせていただけませんか?」
話が噛み合わない。私が知りたかったのは「逮捕状が出ているのか?」ということだ。「話が聞きたい」と、いうことだけで、この様な騒ぎになるのは納得がいかない。間もなく組対五課が到着するという。飯島は、再び息子と会話をしている。
マスコミ対策で、車庫側に2台の車を停める。マスコミは、そちらに群がるだろう。その隙に、ワゴン車を玄関前に横付けさせるので、素早く乗って欲しいということだった。しかし、その指示は意味をなさなかった。数百名に上るメディアは、私の家をぐるりと、囲んでいる。小手先の作戦は、簡単に粉砕された。ドアを開けると、一斉にフラッシュを浴びせて来た。祭りのような騒ぎだ。私は、思った。
「堂々としていよう。」
私は、仕事に出かけるような顔を作り、「ふっ!」っと、息を吐くと、マスコミの濁流の中へ向かった。車まで、僅か1メートルほどであったが、私は、濁流に飲み込まれた。前へ進めないのだ。私は、流されるままの流木のようだった。右に、左に押しやられながら、少しずつ目的の場所に向かって、強くも、よろよろしながら進んで行った。用意されたワゴン車の後部座席に座るまで、一体どれくらいの時間を要したのだろうか。すでにワゴン車は、角砂糖に群がるアリたちで囲まれている。窓ガラスを叩く。空には、季節外れの蜂が飛んでいた。ヘリコプターだ。私は、次々と車に傷がつく音を、ただ黙って聞いていた。
その日、昼過ぎに「ASKA、覚せい剤使用容疑で再び逮捕」と、報じられていた。報道を知り、最初にコンタクトを取って来たのは、台湾の友人であり、俳優のロニー・オスカーだった。
「ASKAさん、大丈夫?」
「何が?どうした?」
「今、こちらのニュース速報で、ASKAさんが逮捕されると言ってるんだけど?」
「あはは。何の容疑?」
「覚せい剤使用・・・。」
「何で・・・?」
その後、電話を切る間がない。次々に、友人、知人から電話が入った。と、同時に、鳴り続けるメール音。対処ができない。昼、3時を過ぎたあたりから、そのようになった。ただ対応に追われていた私は、ネット上の自分の記事や、テレビの速報など、何も確認できていなかった。ひとり孤島にとり残されてしまっているようだった。
友人のひとりが伝えて来た。
「とにかく『ワイドショー』を、観ろ!」
「やってんのか?」
「いいから、観ろ!」
鳴り続ける電話を無視し、その番組を観た。電話では、やり取りをしたことのある芸能レポーターの顔が映った。
私のことを喋っている。話の内容は、要約するとこうだった。
「警視庁は覚醒剤を使用したとして、覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで、ASKA容疑者(58)に対する逮捕状を取った。同容疑者は25日午後7時ごろ、自ら110番通報し、駆けつけた警察官に「盗撮されている」などと説明。同容疑者が任意で提出した尿を鑑定したところ、28日午後に覚醒剤陽性反応が出ていた。」
内容は理解できたが、使用の覚えはない。25日、確かに110番通報はした。しかし、それは、度重なる違法アクセスに堪り兼ね、「サイバー課を紹介して欲しい」と、いう内容だった。決して「意味不明な発言」や「ろれつが回っていなかった」などということはない。証人もいる。なぜ、こうなる?
私は、7月から始めたブログを確認した。おそらく、この報道を信じ、落胆したファンの書き込みが連なっているだろうと考えたからだ。それは、思ったとおりだった。
「がっかりだ」
「やっぱり、やめられなかったんだね」
「裏切られた」
「還暦は、刑務所で迎えてください」
私は、この誤解からの書き込みの流れを変えなければという思いから、ブログに書き込んだ。
つづく