藤原いくろう

彼は、クラシック畑でありながら、ポップスを愛する音楽家でありまして、

僕を、あのシンフォニーの舞台に引きずり上げたのが彼でした。

 

思えば、もう15年近くの付き合いなんですね。

 

極めて温厚、しかし、突発的激情型過激症候群なところが僕と良く似ておりまして、

武勇伝においては「ASKA劇場」「藤原劇場」てな、場面もそっくりです。

 

彼の情熱に寄り切られまして、僕のメロディとクラシックの融合がなされました。

 

コメントに「あること」を知っておられた方がいらっしゃいましたので、

今日は、それを。

 

なんで、知ってるんだろ?

 

とは、思いましたが、会報で語っていたのかもしれません。

 

実は、いくろうちゃんとアジアを周っていたときに、あることを思いついたのです。

 

今は奥様。

当時はフィアンセ。

 

タイのコンサートに、彼女(奥様)を内緒で呼ぼうと。

しかし、彼女、大の飛行機嫌い。

 

スタッフが声をかけたのですが、頑として引かないのです。

で、僕の登場となったのです。

 

僕の乗る飛行機には事故はありません。

その昔、乗るはずった飛行機を止む得ず当日キャンセルいたしました。

その飛行機が大惨事となってしまったことは、僕の近しい周りでは有名な話です。

 

そんな僕が直接お電話を入れました。

彼女も、僕のその昔の話を知っていました。

 

「大丈夫。僕が声をかけて直接呼んでるんだから、何にも心配しなくていいよ。

 絶対に事故はない。いくろうちゃんにサプライズしようよ。」

 

彼女を、とうとう口説き落とし、タイへご招待いたしました。

 

さて、サプライズ。

ただ、

 

「突然来ちゃったぁ!!」

 

では、イレブン納得致しません。←すでにイレブンなんかい!!

コンサートを観てもらった後の食事会で、

 

ふふ・・・。←流れに合わないからヤメろ

 

そこは、ホテルのレストランでした。

あらかじめ、レストランの支配人と女性従業員と打ち合わせをしていたのです。

 

女性従業員の服が欲しいと。←オマエ、勘違いされるぞ!

 

そうです。

彼女に、従業員に変装してもらい、いくろうちゃんへ食事を運ばせようと。

 

♪  この〜 日何の日、気になる 来たこともーないですから〜♪

 

いくろうちゃんの頭の中には、彼女がタイに来てるなんてあり得ないわけです。

絶対に飛行機には乗らない彼女ですので。

でも、来ちゃったんですよん。

 

その日のバンコクでのシンフォニックコンサートも、

気持ちが高揚するくらいの良い出来でした。

 

しかし、私のサビはここからです。

     ↑

  あ、見っけ!

オマエ「僕」の時「ASKA」で「私」の時「イレブン」だろ!!

            ↑

         やかましい!黙って聞け!!

 

彼女、タイの服がよ〜くお似合いでした。

 

僕といくろうちゃんは向かい合わせになりました。

顔を見逃したくありませんでしたので。

 

とりあえず、特等席。

 

テーブルについて、なんだかんだ話しているときに、

彼女が、いくろうちゃんにお水を運んだのです。

 

「いいかい、『インディートーンラァッ』って言うんだよ。胸で手を合わせてね。

 声、まず、声を聞かせよう。言葉間違ったて構やしないから。わかんないって。」

 

打ちあわせは、終えていました。

 

「インディートーンラァッ(いらっしゃいませ)」(胸で手を合わせて)

 

すごく不自然・・・。

それでも、オッケェ!

 

しかし、いくろうちゃん、声には全く反応せず・・・。

 

で、次にビールを注がせるわけです。

彼女がビールを差し出した時、

 

「ああ」

 

と、いう表情でコップを掴むいくろうちゃん。

 

この時でした。

チラ見したのです。

従業員の顔を。

自分のフィアンセを。

 

右手で持ったコップ。

そのコップ、身体を少し捻った左肩付近。

 

チラ見後、いくろうちゃん、半身の態勢で顔だけ正面テーブルの皿をじっと見つめました。

マジ顔・・・。

 

後日談。

 

「に、似過ぎてると思ったんだけど、み、見てはいけないと思いまして」

 

しかし、その瞬間、頭の中は△◆🙅‍♂️になってるわけです。

 

僕は、この時の顔がいちばん面白かった。

 

で、見てはいけないと思いつつ、頭を解決したかったのでしょうね。

いくろうちゃん、マッハで振り向きました。

 

カチカチ(ビールとコップが当たる音)

 

「何で・・・?」

 

トクトク(構わず注がれるビールの音)

 

ここで、僕たちは大爆笑となりましたが、本人、まだ真顔。

 

「な、何で・・・居るの・・・」

 

だって、ほら、朝、電話で喋ったばかり。

コンサート、レストラン、従業員、

飛行機には絶対に乗らない彼女。

ここはタイ。

だけどこの従業員、きっと僕の彼女・・・。

 

ホテルのマネージャーも従業員達も、手を叩いて大爆笑。

とにかくレストラン中に笑い声がコダマしました。

 

テレビ「モニタリング」のスタッフになりたい。

 

 てな、ことがあったのです。

昨日「久しぶりに」とは、書きましたが、

その後、ずっとちょくちょく会ってまして、一昨年の夏以来てな感じでした。

 

現在、奥さん(現役の演奏家 チェリスト)。

バンバン飛行機に乗って、一人で海外(演奏)に行ったりしてるそうです。

 

さて、12時半か。

そろそろ音を出すかな。

 

 

ASKA