語り継がれていない「龍馬の場所」 2
階段を上がった突き当たりには、お寺がありました。
僕は、なぜかそこではない気がしましたので、
そのお寺まで上がったマネージャーを下から呼びました。
なぜなら、そのお寺の下、左側向こうにお墓が見えたからです。
「ここだよ」
「入れませんよね?」
「ホントだね」
そのお墓には、行くことができなくなっていたのです。
通用口から、向こうのお墓は見えるのですが、
その通用口に鉄線が巻かれていました。
「あ、この通用口の左側に、なんかあるね?」
「ホントですね。ちょっと行ってみましょうか?」
マネージャーが、そこの入り口をくぐると、僕に合図をしました。
「ここも、神社です」
あ、ここだと思いました。
上のお寺と、下の神社。その間にあるお墓。
僕は、下の神社のお墓だと思ったんですね。
そして、僕といくろうちゃんも、そこをくぐりました。
ぜんぜん派手じゃない。
だいたい、どこも「坂本龍馬」を、
全面に押し出してるところが多いのですが、
この神社は、そうじゃなかった。
「あ!? 呼び鈴がありますよ」
「押してみなよ。神社の人に会おう」
60代後半から70代前半の女性が、出てきました。
「こんにちは。龍馬さんのお墓があると聞いてやってきました」
「お墓は、下ですよ」
「あれは、観光用ですよね?もう一つお墓があると聞いてきました」
「どなたに聞かれました?」
「ええ、まぁ・・・」
女性は、幕末のことを良く知っておられました。
いくつか、わかったことがありました。
お墓に関しては「今はない」。
そして、そこは「伊藤博文」を守っている神社だということ。
その「今はない」が気になったのです。
「今はないと仰いました」
「はい。当時はありました。そして、お守りしていたのですが、
明治になると、龍馬さんの骨は、
政府から没収されまして、今は下のお墓で、一つにされています。
この神社では今、伊藤博文だけを守っています」
何か話が聞けそうです。
僕は、自分を明かしてみようと思いました。
「僕は、以前、新撰組で伊藤博文さんの若いころの伊藤俊輔役をやりました」
「え?!」
すかさずマネージャーが、女性に、
「彼は、シンガーなんです」
「ああ、そうですか」と驚かれた後、女性はまた話をし出しました。
そして、すぐに、
「あ!?ASKAさんや!!」
「あ、こんにちは。ASKAです」
相手に顔が知られていると、色々、助かることがあります。
また、逆の場合も非常に多いですから、どちらとも言えませんね。
つづきは
ASKA(2018/12/12 21:54)