こんなことってあるんだなぁ。

僕の人生に於いて、

「こんなことってあるんだなぁ」

は、ちっとも珍しいことではないのですが、やっぱりその度に驚きはあります。

昨日、剣道の稽古後、諸先生たちと「焼き鳥」を食べ、駅のタクシー乗り場に向かいました。

車に乗って直ぐでした。

「この近くに道場があるんですか?」

僕が、竹刀を持っていましたので、そう聞かれたのでしょうが、即座に気がつかれるものではありません。
僕は、質問しました。

「剣道やられてるんですか?」
「あ、はい。少しかじった程度です」

その後、少し話が進むにつれ、「かじった程度」ではないなと感じました。

聞かれました。

「失礼ですが、お歳は?」
「60歳です」
「えーと、それではインターハイが福岡で行われた時ですよね?」
「ええ、そうです。僕は、その福岡のインターハイに出たんですよ」

少し、自慢のように聞こえるかもしれませんが、
自分がインターハイに出場したことを伝えるのが目的ではなく、
その運転手さんが何者であるかを聞き出したかったのです。

明らかに僕より若かったからです。
計算力が早いだけではないでしょう。

毎年、開催地の違うインターハイの主催地を即座に答えられる人はいません。
出場経験のある僕でさえ、自分が出場した前後の開催地のぐらいしか知らないのですから。

「インターハイに出られたんですか?」
「いえ、私は出場できませんでしたが、兄が国体で優勝しました」

「血」というモノは必ずあります。
お兄様が国体で優勝されるぐらいですので、その運転手さんもそうとう実力があるはずです。

「あの頃は、南筑が強かったですよね」

驚きました。
そのとおりなんです。

僕が北海道から個人代表で出場した時、団体では「南筑高校」が福岡の代表でした。
代表同士の付き合いから、数人の選手とは、今も交流があります。
その一人が、8エール「3号」です。

「南筑の○○と、今でも連絡を取り合ってますよ」
「○○さんは、現在○○高校の監督をされてますよね?」

いやいや、この運転手さん、ただ者ではないでしょう。
僕が子供の頃、僕らの地区が日本で一番強かったこともご存じでした。

「もしかしたら福岡の方ですか?」
「はい、福岡です」

福岡県は、もっとも剣道が盛んなところでして、昇段審査も狭き門です。

「何段をお持ちですか?」
「私は、四段を取ってから、そのままです」
「そうなんですね。僕も高校の時に三段を取って剣道から離れまして、
  最近ちょっとした出来事がありまして、約40年ぶりに四段を受けるんですよ」
「今、四段は、かなり難しくなりましたよ」

詳し過ぎます。
先日もお話ししましたが、激戦区の福岡で四段に合格するのは、10人中2〜3人です。

僕は、亀田興毅

「復帰するなら、意味のある相手を選ばなくてはならないよ。世界ランキングの選手でなければ、
  悪意しかない奴らに中傷ネタを提供する事になるので、世界ランカーを指名しよう」

そんなことを言った手前、僕は四段の審査を激戦区の福岡に選びました。

「かじった程度ではないですね?現在もやられれるんですか?」
「最近は、やれなくなってしまいましたが、実は15年間コーチをやっていました」

やっぱりな・・・。

「60歳でしたら『ねんりんピック』に、出場されてはいかがですか?」
「たった今、日体大明治学園学習院の先生たちから出場するように勧められたばかりなんですよ」

その運転手さん、コーチを辞められた後、剣道の指導をするためにスペインに渡り、
そこで試合にも出場され、スペインだったかな?ヨーロッパ大会だったかな?優勝されたとのことでした。

「お客様、シニアで優勝狙われたらどうですか?」
「はい。再来年はそのつもりです」
「最近はシニアでも現役バリバリですからね」
「実は、そのシニアで父が七回優勝してるんです」
「えっ?お客様、失礼ですがお名前は何とおっしゃりますか?」

名前を告げました。

「あー、それはそれは誠に失礼いたしました」

父の優勝記録をご存じでした。

「私は○○と言います」
「わかりました。覚えておきますね。一緒に、年齢別のシニアで優勝を目指しましょうよ」
「はい。これもご縁ですね。私も再開します」

父の事はご存じでしたが、その息子が僕であることは知らなかったようです。
最後まで、僕のことはお気づきになられませんでしたが、だからこそ話が弾みました。

タクシーを降りながら、お客と運転手さんが、エールを送り合う。
こんなことってないですよね。

今日は、ヨーロッパにおいてのストリーミングの状況のデータを持って、
ロンドンからお客さんが来ます。

今、向こうではストリーミングから離れるミュージシャンが出てきているとのこと。
そんな時に、日本は、それに向かおうとしてる。

今日の話は、ひじょうに興味深い話になります。

一昨日、昨日と

共同通信

で、僕のインタビュー記事が公開されました。

現在、全国版で読まれている記事の1位、2位が僕の記事です。
もちろん、みなさんが読んでくれたからです。

目立った記事になりましたので、みなさん以外の読者が読んでくれてます。

音楽業界の実態を知ってもらうことは、ミュージシャンにとって大切です。
ありがとう。


ASKA(2018/6/24 16:05)

 

www.fellows.tokyo